春香Pの雑記

アイマスのこと、書評、日記など。

ヨーロッパ旅行記8(ローマ、バチカン 2020/02/03)

ローマ2日目。

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この日はまずバチカン市国へ。

バチカン博物館は行列。
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チケット。後ほど出てくるが、ラファエロの絵の一部。

 

アウグストゥス
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ラオコーン
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ラファエロの「アテナイの学堂」
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中央左のオレンジはプラトン、右はアリストテレス。一人ひとりにモデルがいて、非常に楽しめる一枚。

 

白ワイン
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水道にSPQR、そしてバラ。いかにもローマ。
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再びバチカン市国

サンピエトロ大聖堂

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スイス兵。ミケランジェロデザインの制服だったかな?
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サンピエトロ大聖堂の上から見下ろすバチカン、ローマ。

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ミケランジェロピエタ
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布の質感と、マリアの表情がさすがミケランジェロ

 

マルクス・アウレリウス
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ヨーロッパ旅行記7(ローマ、2020/02/02)

ブダペストを発ち、ローマへ。

 

コロッセウム
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デカくて写真に収まらない。

 

フォロ・ロマーノ(ローマの広場)
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カエサル(だったと思う)
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コロッセウムの中。
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やはりローマの建築は凄まじい…

 

コロッセウムの中から、凱旋門が。f:id:hi-ho-p:20210202013619j:image

 

マルクス・アウレリウス凱旋門だということで、『自省録』と。
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町の至るところに、SPQR
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はためくイタリア国旗
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トレヴィの泉
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ヨーロッパ旅行記6(ブダペスト、2/1)【イシュトゥバーン大聖堂、国会議事堂】

今日からちょうど1年前、卒業旅行でブダペストにいた。

 

突然のお願いにもかかわらず、ハンガリー出身だという某アイマスPがつきっきりでブダペストを案内してくれて、とても良い1日だった。

もう一度行きたい町だなあ…

 

イシュトゥバーン大聖堂

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名前がめっちゃカッコいい。

 

高いところから見るセイチェニ鎖橋
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この橋ができたことで、「ブダ」の街と「ペスト」の街がつながってブダペストになったとかならないとか…

 

なんとも豪壮な国会。圧倒される。
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名前は忘れたが、ソウルフードだという。

ジャンキーだがとても美味しかった。
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ケーキ、すごい安くてしかも美味しい。
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夜景が本当に綺麗。ブダとペストが織りなす光。
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小765主義と大765主義-小765主義者の視点から−

人それぞれの楽しみ方があると思うので、こういう視点もあるんだな、という程度に読んでください。

 

アイドルマスターの世界観には事務所がある。

その事務所の1つに、765プロダクションがある。そして、この765プロダクションは、さらに大きく2つに分けられると言えよう。

それは、所属アイドル13人の765プロと、13+39人の765プロ(ミリオンの世界)である。

現在、13人の765プロの潮流がどんどん先細っていく一方で、52人の765プロという意識はかなりの広がりを持っていると言えるだろう。

そこで、この状況をとある歴史上の動きにヒントを得ながら考えてみたい。ドイツ統一における2つの動き、小ドイツ主義と大ドイツ主義である。この試みはかなりの無理もあり、当然のことながら一致しないところが多いが、共通点もあり、そこから何か学びがあるように思う。特に、13人の765プロを愛するものにとっては。

 

簡単に小ドイツ主義と大ドイツ主義について説明したい。19世紀半ば、ヨーロッパにナショナリズムの波が押し寄せる中、当時バラバラに分裂していたドイツ地域でも統一の動きが見られた。

このうち、プロイセンと呼ばれるエリアだけでまとまってドイツを構成しようとした動きが小ドイツ主義、プロイセンオーストリアオーストリアは人種的にドイツ人が多い)を併せて全ドイツ人によるドイツを作り上げようとした動きが大ドイツ主義と呼ばれる。

ここからは歴史の話なので、興味のない方は読み飛ばしてくれて構わない。

当時、オーストリアは国内に多様な民族を抱えていた。そのため、ドイツ人種による統一、大ドイツ主義を認めてしまうと、非ドイツ人との分断を招きかねないと考えた。その結果、オーストリアは大ドイツ主義を拒絶、小ドイツ主義が統一の主導権を握る。こうした中、小ドイツ主義者は、プロイセンの王フリードリヒ・ヴィルヘルム四世を皇帝にまつりあげることで、ドイツの統一を図った。しかし、近代的なナショナリズムや議会での決定を嫌ったプロイセン王はこれを拒否、小ドイツ主義者による統一も挫折に陥る。

その後、プロイセンの宰相ビスマルクによって、プロイセン主導でのドイツ統一がなされ、結果として小ドイツ主義での統一がなされた。しかし、ビスマルクの真の狙いはドイツ統一ではなくプロイセンの覇権の確立であり、小ドイツ主義での統一が達成されたことはは結果論的な面が大きい(この点、『ビスマルク』飯田洋介に詳しい)。

 

さて本題に戻ろう。この小ドイツ主義と大ドイツ主義にならい、13人の765プロを求める動きを小765主義、ミリオン世界の765プロを求める動きを大765主義としたい。ここで、留意して欲しいのは、ドイツ統一の経緯や結果よりも、主義の内容である。

小765主義者にとってみれば、13人の765の展開と52人の展開は明らかに区別するべきものであり、13人の展開の独立性というものこそが最も大事である。また、13人の展開とミリオンの展開の境目を曖昧にすることは、次第に元々の13人の性質が侵食されるのではという懸念を持つ。

一方の大765主義者は(13人の展開の独立性は認める者も多いだろうが)、ミリオンの展開の中において13人と39人が不可分であると捉える。そのため、13人のアイドルにその世界線の中で一定の重要な役割を果たすことを求め、時には「765PRO ALLSTARS」として活躍することを期待する。

ここで、摩擦が生じる。ミリオンの世界において、「765PRO ALLSTARS」が活躍することで得られた13人の性質が、13人だけの展開に持ち込まれないだろうか。持ち込まれた場合、それは小765主義者にとって受け容れ可能なものだろうか。また、「765PRO ALLSTARS」という概念に与える影響はどんなものか。

これを考える上での好例が、LEADER!!という曲だろう。この曲は、旧来からの13人のアイドルが歌う歌であり、クレジットは「765PRO ALLSTARS」である。そして、この曲において、タイトル"LEADER"という単語に込められた意味が重要だろう。「先導する者」「率いる者」「先に立つ者」という訳や、あるいは「旗手」という訳も可能かもしれない。誰を率いるのかと考えれば、後輩の39人が思い浮かぶ。ミリオン(ミリシタ )の展開において、13人は先輩であり、その属性が強調された曲であると理解するのが自然だろう。先輩たる彼女たちの決意を感じとることのできる曲ではないか。各々の楽しみ方がある曲だろう。

ここで少し翻って、クレジットが「765PRO ALLSTARS」であることに改めて注目したい。これは大きな問題点を孕んでいる。たしかに、13人が歌っている。ミリオンの世界においても、13人が「765PRO ALLSTARS」として活動するのは自然なことだろう。しかし、先述したような「先輩」の属性を持つこの52人の765プロにおける「765PRO ALLSTARS」と、13人だけの展開における「765PRO ALLSTARS」は明らかに性質が異なったものとなる。13人だけの展開においては当然彼女たちは先輩ではない。しかし、両者とも「765PRO ALLSTARS」なのである。

小765主義者が望むこととして、13人だけの展開の彼女たちに、そういう属性が持ち込まれないことをあげた。これは、あくまで世界観が異なるのであり、その峻別をして欲しいということを意味する。

この峻別を難しくしているのが、両方のクレジットが「765PRO ALLSTARS」であることだ。両者は別物であるにも関わらず、同じ名前を冠する。その結果、この両者の境界は次第に曖昧なものとなり、境界線が融解していく。そして、13人だけの世界観に52人の世界観の性質が持ち込まれる余地が生まれる。新しくこのコンテンツに触れる者にとっては、一見その違いが分かりにくくなっている点も指摘できる。これもやはり、長期的な境界の融解を招くと言えよう。

コンテンツの提供者たる公式・運営さえもが、この境界をかなり曖昧に捉えていることが現れた例がある。バンナムフェス2日目における、765プロオールスターズの選曲だ。765プロオールスターズの3曲目に歌われたのは、LEADER!!であった。これは小765主義者には衝撃であろう。この日のクレジットは「765プロオールスターズ」であり、「765ミリオンスターズ」は別のアーティストとして参加していたからだ。この分け方をしている以上、ミリオンの世界観の中での曲であるLEADER!!を「765プロオールスターズ」に歌わせることは、明らかに世界観の理解を誤っている。これはあくまで声優ライブではあるが、公式・運営の姿勢として、この両者の峻別をはっきりと行なっていないことが現れた一例と言えよう。

小765主義の視点から、批判にも近い論を繰り広げてきたが、ミリオンの展開における13人の活動を「765PRO ALLSTARS」と表記するのは当然のことであろう。後輩が入ってくるまでの間も、彼女達は「765PRO ALLSTARS」として活動してきたであろうし、後輩が入ってきたからと言ってそれが変わるわけではない。

ただ、繰り返しになるが、小765主義者にとって、後輩が入ってきた世界における「765PRO ALLSTARS」と13人だけの世界における「765PRO ALLSTARS」はやはり別物なのである。こう望むのは少数者かもしれないが、それでも少なからぬ数ではないだろうか。その意味でも「765PRO ALLSTARS」というクレジットに対する扱いは慎重であって欲しいし、あるべきだと考える。

コンテンツの始祖たる765プロソフトパワーをより維持していくためにも、そうした細やかなところを丁寧に扱っていく姿勢が求められるように思う。

 

バンナムフェスでLEADER!!が歌われた曲順を誤っておりました。申し訳ございません。現在は訂正しております。

ヨーロッパ旅行記5(ウィーン、1/31)【ベルヴェデーレ、シェーンブルン宮殿、シュテファン大聖堂】

4日目、プラハ編はこちら!

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5日目はウィーン。

お目当てはとにかくハプスブルク家の史跡!

神聖ローマ帝国の皇帝を輩出し、絶大な力を誇ったハプスブルクの宮殿を巡ってみた。

まずベルヴェデーレ。女帝マリア・テレジアが購入して以来、ハプスブルク家の宮殿として使われたらしい。ロココ式、造形がいいよね。

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現在は美術館として使われていて、近代以降のコレクションを中心に展示をしている。

中でもテンションが上がったのはこれ、《アルプスを越えるナポレオン》!

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ナポレオンが宮廷画家のダヴィドに描かせた作品で、世界史の教科書には必ず載っているくらい有名だ。プロパガンダの意味もあってだと思うが、めちゃくちゃカッコよく描かれている。

正直、オーストリアにあるとは思っていなかったので、びっくりした。でも美術館で「え、こんなところにあるの!?」っていう作品に出会った時嬉しくなりませんか?僕はなります。

調べたところ、ダヴィドはナポレオンの命で5枚この絵を描いていて、そのうちの1枚がここにあるのだとか。

 

オーストリア出身だというクリムトの有名作《ユディト》と《接吻》
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美術音痴の自分にとって、このユディトは美空ひばりにしか見えない…

 

ここからの4枚は好きだった作品。リアリズムになるのかな?
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特に船の絵が好き。

色鮮やかな発色と、遠目には写真のように見えるけど近づいたり拡大すると明らかに絵の具で描いてる感じが好き。

ベルヴェデーレの外観と庭。

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センスいい。

 

昼食

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まあまあ。値段を考えるとやや割に合わないかも。

 

昼食後、シェーンブルン宮殿へ。
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びっくりするくらい横に長い。

内部は写真が撮れなかったが、非常に楽しめた。オーディオガイドで各部屋の細かい解説を聞くことができる。

・各部屋が豪華絢爛だが、派手すぎず品がある感じがした。

オーストリア=ハンガリー帝国最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の生活ががうかがえる展示が印象深かった。妻や息子など愛する家族を次々と失う悲劇に見舞われ、国を第一次大戦へと導いてしまったものの、自らに厳しく政務を行う姿からか、国民の敬愛を受けているようだった。

ウィーン会議ケネディフルシチョフの対談がされた部屋など、歴史的な事件にまつわる場所がある。ロマンを感じた。

少し登った丘からの写真。
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最後に、シュテファン大聖堂を訪れる。

ゴシック式の大聖堂で、荘厳な感じ。黒基調なので余計そう感じるのかもしれない。
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(前日の夜はチラッと来た時はライトアップされていて、こんな感じだった)

タワーに登れるというので、登る。

途中、屋根が見える。色のついたタイルで神聖ローマ帝国の紋章である双頭の鷲が描かれていた。
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ウィーンの街並み。
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まだまだ奥の深い街だという感じ、1日では足りなかったかな。

 

次はブダペストへ!

イスラームとは、そして原理主義とは。イスラームの歴史からアイドルマスターを考えてみる。 ー読書感想『イスラームの歴史』カレン・アームストロング

 

 非常に面白い一冊だった。高校で世界史を学んだ際、幸運にもイスラームに理解ある先生に教わったためにイスラーム文化の面白さというものを漠然と感じていたが、今回はより深くイスラームの特徴に触れ、魅力を感じることが出来た。また、普段自分がなかなか意識することのない「宗教」について考える良い機会を提供してくれたし、イスラームから見た歴史の視座で西洋社会を捉えなおすのも大変興味深い試みだと感じた。

 イスラームという宗教が成立当初から深く政治と関わり合い、また社会の変容に対応して形を変えていく様は一冊を通して印象的だ。ウンマの趨勢は人々がクルアーンに適合して生活できているかどうかを反映する、という考えはわかりやすく人々に訴えやすいものだろう。その時のイスラーム社会の状況によって、イスラームの教義が常に見直されてきた歴史は私にとって面白く、加えてその教義一つ一つが興味深い。

スーフィズムとよばれるイスラーム神秘主義の1エピソードが紹介されている。あるスーフィストが内的な経験に神を見いだし、アッラーに「我は汝を通して存在する。汝のほかに神はない」と告げられたというエピソードだ。クルアーンハディースに従って生活を送ることでアッラーを自らに内在させ、自らが神と一体化とするという宗教的姿勢は、信者の生活に充実感を与えるとともに、優秀な社会規範として機能するだろうことは想像に難くない。ストア派的にも見えるこの解釈は魅力的だし、イスラームが本来持つ懐の深さを示しているように思う。

特定の宗教を信じていない私にとって、これを羨ましく思う感情が少なからず存在することを再発見できた。多少プラグマティックな形ではあるが、自らを律する規範として何か一本寄りかかれる軸をあえて設定してみるのもいいかなと思わせるくらいには、イスラームは魅力的な面がある(現に、天海春香を規範にしている節は否めないのだが)。

また、似ているが少し違う流派として、ツイッターのTLで、自分と天海春香と一体化させようとする、言ってみれば天海春香神秘主義みたいな感じの方を見かけたり見かけなかったり…

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 著者の宗教の変遷に対する視点も新鮮であった。「宗教は決して変化しないものと思われているが、実際には変化しており、かつ時代を後戻りすることは出来ない。改革はその意図にかかわらず、たとえ保守的なものでも新たな展開であって、現在の問題に信仰を適用させようとする試みである」というこの指摘には、なるほどと思わされた。原理主義を捉える際に非常に役に立つだろう。また、それぞれのアイマスPの選好を考える際にも。同じコンテンツに接していても、それぞれが全く違うものとしてアイマスを捉えているのではないか。

 

 現在における一部の原理主義者、過激派がイスラームに対するイメージを損なっていることを率直に残念に思う。今後、西側諸国とイスラーム文化の相互理解が健全な形で進展していくことを願ってやまない。

「誠実さ」こそが外交のカギ?外交と民主主義の関係はどうあるべき?-読書感想『外交』H・ニコルソン

 

外交 (UP選書)

外交 (UP選書)

 

 

この本を読み、外交のイメージが変わった。やはり外交のイメージとしてマキァヴェリ的な権謀術数、狡知さを駆使した駆け引きという面が今でもあるだろうという印象を持っていた。しかしニコルソンは、外交官に求められる重要な資質の一つが誠実であり、策謀を巡らせるような外交が結局は成功しないという。誠実な交渉によって他国との信頼や信用を構築することが結局は自国にとってプラスに働くのだ、という考えは自分にとって外交に明るいイメージを与えるものだった。

 ニコルソンはイギリスの外交官はその性質を備えているが故に、世界で最も成功する外交官であるという評価を与えている。たしかに、国家間関係の処理という外交の膨大なケースのなかでとらえるのであればそれは適当なのかもしれない。その一方で、やはり思い浮かべるのは中東、イスラエルパレスチナの問題である。この問題はイギリスの三枚舌外交が惹き起こした悲劇だといえるだろう。逆に言えば、この問題は誠実・正直に基づかない外交が失敗しうるというニコルソンの主張に説得力を増すケースでもあるかもしれないなどと感じた。

 民主的外交に関する記述もまた、大変興味深かった。貴族外交や会議外交の枠組みだけで外交がなしえた時代と異なり、現代はやはり国民による外交への興味、民主的統制が求められる時代である。日韓関係などは、国民の感情がお互いの関係を難しくしている好例だろう。ニコルソンが提起した「民主的外交の形態が今後いかに進化していくべきか」という問題は未だ我々のうえにのしかかっている。教育による変革国民の意識の変革が必要であるように思われる。自分の経験を振り返ってみれば、初等中等教育の段階で、自国と他国の関係を見つめるという機会は非常に少なかった。教育基本法第2条は、(日本の)伝統と文化の尊重や我が国と強度を愛する態度と同列に、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を育成することを目標としている。もう少しこの目標達成のために充てられる授業がなされてもよいのではないだろうか、と考えるきっかけとなった。